初めて好きになったJr.とラジオ
かつてラジオが好きだった。枕元にラジカセを置いて、 ニッポン放送を流しながら眠りについていた。小学生高学年の時、 当時モーニング娘。 のメンバーだった矢口真里さんのオールナイトニッポンスーパーに出会った。最終回の最後の最後に読まれた手紙が、今でも忘れられない。
以下ニュアンス
「毎日死にたくて、 でも矢口さんのラジオを聴いて明日も生きようと思えて、 その繰り返しで頑張れました」
矢口さん、当時のようにやぐっちゃんと呼ぼう、 やぐっちゃんは泣きながら読み上げた。 ボロボロ泣きながら聴いたリスナーは私だけじゃないだろう。 アイドルってすごい。ラジオってすごい。心を動かす「伝える側」 になりたいと思ったのは、これが最初のきっかけだった。
それから大人になった自分は「伝える側」 へいって、やぐっちゃんほどでなくてもわずかながらも人の心を動かせて、 そしてアイドルという概念には魅せられ続けている。 人生を変えてくれた人、 なんて24時間テレビのテーマみたいだけれど、 自分の人生を変えてくれた人のひとりは間違いなくやぐっちゃん( アイドル)だ。
社会人になってラジオからは少し離れてしまったのだけれど( ここのところぴたラジとからじらーとかは聴いている)この半年、初めて好きになったJr. がオールナイトニッポンの冠のもと番組を担当した。 グループメンバーが週替わりで出ている中で、 彼だけは毎週出演した。こんな未来があるなんて、 就活生だった自分に教えてあげたい。
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なんていうか、ここからの話は年齢がバレるのだけども、 初めて好きになったJr.は、 年下の私が就活生になってもデビューしていなかった。 大学時代はBSが入らなかったので、 彼の情報は雑誌の立ち読み程度だった。 嵐がブレイクしてしまった最中で、 正直彼の活動どころではなかったというのもある。
彼らのグループが単独コンサートをバンバンやるようになってても 「デビューしない限りは見に行かない」ルールを敷いていたし、結果として転機となったコンサートも「 あー2月なかばにやるんだー就活真っ盛りだしチョコレート屋のバ イト休めないしなー」くらいで見送っていた。
ただ、興味がないわけではなかった。 渋谷駅をジャックした時は写真を撮ったし、 ニッポン放送のエントリーシートにあった「 これから注目すべき5人を書いてください」に、 文化人の名前に混じって5人のうちのひとりに彼の名前を書いた。
将来デビューして自分のラジオ番組をもってオールナイトニッポン を担当する
エントリーシートで突然の断言。
面接の何回目かでお祈りされたわけだけど、 直後の2月なかばに茶封筒が彼の手に渡されることをその時は知ら ない。翌朝のワイドショーを見て震えた。 ジャニーズ事務所最年長デビューって紹介されてるのを見て、 布団の上でパチパチ拍手した。 そしてバレンタイン戦争のバイトへ向かった。
そしてデビュー後、彼はニッポン放送でソロラジオ番組を持った。 決まった知らせを受けて自分全力のドヤ顔。
ただ彼らのデビューや売り出し方に反抗心を持ってたのと、 土曜夜も仕事だった自分はほとんど聞くことができなかった。 2年半もパーソナリティを務めていたのに… 今でもこれは後悔している。
全世界へ向けたドヤ顔。
ほらぁ!?言ったじゃん?8年前に言ったじゃん?
半年の期間限定でリアルタイムで聴くことはできなかったけれど、 今度こそはタイムフリーでほとんど聴いた。今やってる仕事の話、ジュニア時代の話、初めての主演映画の話、 嵐活動休止の話、なんでもないプライベートな話…テレビや雑誌とはまた違う、 そしてグループのメンバーがその場にいて毎週長時間しゃべる姿、姿っていうか声色とか内容とか、 やっぱり好きになるべくして好きになったJr. だったんだなあと思った。
初恋の人のソロバックに当初ついていたメンバーのデビューによってアンダーに入った彼は、ダンスもまだぎこちなくて、眉毛も太くて、黒髪短髪で、初恋の人と似た反骨心ある目(と、大きめの前歯)をしていて。あのときに彼を見つけなかったら、少クラを見ることもジャニーズJr.を好きになることもなかったかもしれない。彼だったから今も応援できるんだろうなと思う。
「2番目の男」の彼が表舞台に立っている限り細々とだけど長く応援したい。その先にいつかまたニッポン放送でラジオMCの仕事があるといいな。
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そんな2019年の春、彼を慕っていたというのか、勝手な主観では彼と似ている(考え方やパフォーマンスの魅せ方などなど)と思っていたJr.が事務所を去る。彼に茶封筒を渡してくれた「隣にいつも安井」のJr.。
最後のお仕事だったラジオ番組が先ほど終わった。最終回で流した曲のひとつがKis-My-Ft2の「Dream on」
過去は曖昧で
変えていけるのは明日だけ
限りない夢を追いかけて行くから
掴み取れるまで
Sexy Zoneデビュー後のJr.世界が、ひとつ区切りを迎えた1年だった気がする。彼に似たそのJr.は間違いなく功労者だった。どうか未来に幸多かれ!