前歯の指す方向

もう一度あの日に戻るとしても 同じ路選ぶだろう

ジャニーズ事務所勤続20年によせて

初めて「かっこいい」という感情をもったのは、20年近く前、田舎に新しくできた、そしてまちで唯一のファストフード店に貼られていたポスターを見た時だった。

 

直感的に「かっこいい!好き!」って思った初恋の相手はアイドルだった。

 

 

当時はデビューして活動しているグループが今より少なかったものの、彼らは決して華やかなトップスターではなく、デビューからしばらく経つとデビューしたての後輩やデビュー前の後輩が追い風に乗ってスター街道を走っていた。

 

本人たちが「事務所内での優先順位はデビュー前の後輩より低い」ような旨を自虐として話していたこともある。

 

歌番組に出られること(トップバッターなのでトークはほぼなし)

 

ラジオで新曲が流れること(人気アーティストと同日発売だったから注目もされなかった)

 

メンバーがドラマに出ること(ただし二番手に当時大人気の後輩)などなど、

 

本人たちを見に行くことができない田舎の子供にとっては些細なことが嬉しかったし楽しかった。

 

彼らが一瞬でも主人公になれる時間や場はひとつひとつが大切で、ラジオで新曲が流れれば瞬時にテープへ録音したし、歌番組の録画はテープが擦り切れるまで繰り返し見た。

 

だからメンバーがハリウッド映画に出ること、バラエティ番組のレギュラーになること、初恋の彼が報道番組のキャスターになることは一大事件レベルで本当に本当に特別だった。

 

今月、彼らはデビューから20年目に突入した。かつて「6人目のファン」「嵐というプロジェクト」と言ってくれていた5人は、いつのまにか押しも押されもせぬ人気者になった。

 

彼を好きだったからこそ出会えた人もいて、努力できたこともあって、達成できた目標もあって、行けた場所もあって、見られた景色もあった。他の誰でもない彼と彼らだったからだ。

 

大型の歌番組はトリを任される。新曲が出るとなるとあっという間に初回盤が店頭から消える。年末年始のテレビ雑誌は表紙。なかなか叶わなかったドームコンサートは今や北から南までプレミアムチケット。ゴールデンにいくつもレギュラー番組があるし、嵐ウィークなんていう編成も組まれたこともある。

 

いつしか「人気がある」という状態が一時的なものではなく平常化していた。本人たちも地に足ついた活動を心がけていたはずなのに、一方的に応援しているファンの自分が、その環境に慣れてしまっていたのだと思う。

 

 

と、ここまでがジャニオタとしての前世!第一章!

そして幕開け第二章!そう意外にも未開拓地だった未完の大器が現る

 

(↑完全に前世の記憶が残っている/COOL&SOUL歌詞より)

 

 

 

 

 

 

 

 

第二章の現世は二足のわらじを履いている。その一つが道無き道を切り拓いているグループだ。

 

便宜上「担当」としている越岡さんが、事務所に入所して今月20周年を迎えた。ジャニーズ21年生。その5分の1程度しか見られていないのが悔しい。

 

今年は働きづめだったから、4人の勤続20年リフレッシュ休暇とかないんかな?

 

今でこそバラエティーに呼んでもらって

 

「後輩は楽屋があるのに自分たちは廊下のパイプ椅子」

 

「お金がないからハッピーアワー」

 

なんて笑いながら話しているけれど、彼らの感性が一般人に近いからこそ全然笑えない時期もあったと思う。

 

なのにファン歴の浅い私なんかは美味しいところだけありがたく頂いてモグモグしている。

 

この4年近くのジャニオタ活動はとても楽しい。第一章ではこれ以上ないところを見てしまった気がしていたのに、これまた新しい場所、新しい景色ばかりで楽しい。

 

無茶苦茶なスケジュールをぬって博多座まで飛んだ舞台のカーテンコールでリーダーが
「チケット代稼ぐために何時間働かなきゃならないんだ!?わかるだろ!?じゃあ元とって帰ろうぜ!!!!」と叫んで、
オールスタンディングのアンコール(※注:一応舞台です)にC&R求められるなんて

 

前世の自分はびっくりするだろうよ!

 

所謂「Jr.担」となること、

 

4人での舞台が決まること、

 

CDデビューせずグループのまま初めてJr.が取れたこと、

 

メンバーそれぞれが外部舞台に出ること、

 

毎月誰かが舞台に立っていること、

 

先輩や仲間が番組に呼んでくれること、

 

評判が評判を呼んで別グループのファンの人たちが観に行ってくれること、

 

劇場の当日券人数が過去最多記録になったこと。

 

パンフレットを何度も読めて、雑誌に載せてもらえると喜んで、情報局の動画は飽きもせず眺めて、1回しか入らない演目を頭の中で反芻して、テレビ番組やDVDを息をするようにリピートして。

 

忘れかけていた、ひとつひとつの大切さと、些細なことの楽しさを改めて感じながら、ジャニオタ第二章を大いに満喫している。他の誰でもない彼と彼らだから。

 

自分の年齢や環境も大きく変化しているから、第一章の時のように「この曲は高校の部活を思い出す」といった”青春の思い出”を彩るものではないかもしれない。

 

”生活を楽しくしてくれる”という意味では同じだけれど、心持ちはもっと穏やかだ。アイドルとして、舞台人として、そして社会人として、私は4人を信頼している。

 

第一章の時に「なんで魅力に気づいてくれないんだろう」ともどかしかった気持ちに近い。

 

楽しいよ!おいでよ!ふぉ〜ゆ〜の湯へ!

 

 

デビュー19周年も、入所20周年も、何かを続けることは容易いことじゃない。おめでとうございます。

 

 

いつ芽が出るか、いつ養分が足りなくなるか、いつ雨が続くか、誰にも予測できない世界の中で、辞めないでくれてありがとう。私が好きになるまでステージに立ち続けてくれてありがとう。見つけられてよかった!!!!