前歯の指す方向

もう一度あの日に戻るとしても 同じ路選ぶだろう

スーパー高学歴ニートが羨ましがるオタクの話

終業時間に会社にいる日は定時で上がれることはほぼないが、先日、定時数分後に勢い良く退社した。3週間ほど海外へ仕事に行っていた友人から、帰国するので新幹線に乗る前に会えないかと言われ、それなら何がなんでも定時で退社するから会おうと約束したのだ。

 

この友人は前職が同業他社にあたり、年齢は彼女が2つ上にはなるものの入社年では同期になる。群れることが好きではない彼女が、彼女の後輩を通して「aiさんと仲良くなりたい」と言ってきたことから飲み会がセッティングされたことが始まりだ。私が2年半前に転職をし、その1年後に彼女も退職し”スーパー高学歴ニート”となった。(細々と仕事はしていたから完全なニートではないけど呼びたいだけ)

 

なぜか未だにお互い苗字にさん付けのうえに敬語である。

 

彼女はどうしてか私の出身地のエリアに住み着いており、帰省するとよく夜中に転がりこんでいるのだが、毎回最近のオタク活動を聞いてくる。私は自分のオタク話を誰かに聞かせるのが苦手で、できることならオタクであることを隠したいと思ってしまうのだが、相手から要求されるとまんざらでもない。

 

とはいえ彼女自身はジャニーズに興味がないので、名前を言って顔がわかるわけではない。一応画像を見せながら話してみるものの、次に会う時には顔も名前も忘れられている。別に私もそれでいいのだが、なぜそんなに聞きたがるのだろうか。

 

それはニート曰く「自分がそこまで長い年月熱中したり、エネルギーを費やしたりしたものがないから羨ましい」らしい。お世辞などではなく、おそらく本気で思っているのだろうが、興味もない分野のオタク話を率先して聞きたがるとは。学歴にも会社にも固執せずニートになり、縁もゆかりもない土地に住み着く女の考えていることはわからない。

 

帰国早々会った彼女と夕飯を食べながら、やはり最近のオタク活動報告を求められた。中島健人くん主演のドラマが始まったこと、ふぉ~ゆ~という4人組の主演舞台が始まったこと、どちらも今応援していて最高に楽しいこと、ふぉ~ゆ~は12月にZeppツアーをするので楽しみなこと、今年貯金は諦めたことなどなど一方的に話していたのだが、果たして目の前にいる人はどこまで理解してどこまで興味があるのか。相手から求められない限り普段ここまで話すことはないのだが、一通り話終わると必ずこの言葉が返ってくる。

 

「元気そうで良かったです!!!」

 

そして次にはこう言う。

 

「羨ましいですよ!!!」

 

決してオタクであることに呆れた口調で「元気そうで良かった」「羨ましい」と言っているのではない。趣味や人間関係に対する熱量が低いニートにとって、高い熱量で向かい合っていた仕事をやめても色んな人間関係を整理しても「ジャニーズ」という自己満足な趣味を人生の半分以上に渡って普遍的に持ち続けている私は、おそらく異文化の興味対象であり自分がなれない生命体なのだろう。こちらからしてみたら、彼女の頭脳も容姿も行動力も冷静さも羨ましいものばかりなのだけれど。

 

ちなみにニートが好きなオタクエピソードはSexy Zoneのペンライトと婿にしたいJr.の名前を入れた手作りうちわをもって中島健人くんのシンメのソロコンサートに行ったら、顔がタイプな14歳を見つけて将来性を確信して帰ってきたこと」

 

この話を聞かせてからというもの、初対面の男性に「この子14歳が好きなんです」と紹介をされ、会うたびに「14歳は元気?」と問う。

 

ただ「14歳」って言い方は語弊しかないでしょう!?!?!?

ねえ!?!?!?!?

 

いや、あんたニートって呼んでることも語弊だけどな。

 

そして彼女は忘れている。ジャニーズJr.も現実に存在する青少年としてきちんと年齢を重ねることを。当時14歳だった彼は今16歳だ。それを指摘すると「変わらんわ」と鼻で笑いながら出身地である関西弁で返される。この時ばかりは敬語ではない。なぜ。

 

ニートは困ったら誰かに相談する前に自分の頭で考えて行動してしまいそうだが、女性ホルモンのサイクルには悩んでいるそうで「意外とaiさんはきちんと正確なんですねえ」と、これもまた羨ましがられた。「ジャニーズ見てりゃ活性化しますよ」とすすめてみたものの、「遠慮しときます~」といって片手をピラピラ振りながら新幹線の改札へと消えていった。彼女は帰国直後にオタク話を2時間聞いただけで帰っていったが、これでいいの?

 

ちなみに、誰も聞いちゃいないが、女性ホルモンへのオススメは、同じ世界に生きている30ちょい過ぎ生々しい男性感が半端ないふぉ~ゆ~さんが抜群で、PLAYZONE『情熱の一夜』と、KinKi KidsのLコンサート『恋は匂へと散りぬるを』の、特に大サビ前間奏。あとはいつからか”国民の元カレ”といわれるようになってしまった北山くん(初めて好きになったジャニーズJr.)のソロ曲『FORM』とキスマイBUSAIKU!?の駐車回。

 

ッツマニアーーーーーーーーーーック!!!!

吐く吐く!これ一気に摂取する想像するだけであまりの過剰さに吐く!ギブ!

※効果には個人差があります。

 

 

ここまでニートニートニートと、まるで安井くん主演、美勇人くん出演の映画かのような呼び名になってしまったが、最近彼女は”スーパー高学歴ニート”ではなく”起業家”になった。それでも「aiさんの思考のヤバさとオタク発想がほしいんですわ」と気を良くするようなことを言われるので、いつかニートもとい社長と面白いことができるように、日々ジャニーズを画面から誌面から摂取して、精進しようではないかなどと思ってしまう。

 

 

そう、なぜにニートは私と仲良くなりたかったのか。「aiさんが柴犬に似てるから仲良くなりたかった。柴犬の顔が好きだから」「でも仲良くなったらリスだった」

 

これもまあまあよくわからないが、二宮くんぽいけど中島健人要素もあったということにしておけば悪くない。(なにが?)