前歯の指す方向

もう一度あの日に戻るとしても 同じ路選ぶだろう

あの日奇跡をみたおはなし

2020年3月22日。
 
その日は前日に後輩と「お兄ちゃん、ガチャ」を一気見して、ジェントルお兄ちゃんがなぜCランクだったのかを議論し、昼にのそのそ起床してタッカンマリを食べ、ニンニクの匂いを撒き散らしながら婿の1万字インタビューが載っているMyojoを買って帰宅。18:00からのSHOCKインスタライブに備えた。
 
未だに手元にある自分の名前が入ったSHOCKのチケットは、3月8日夜公演B列。この半券はもぎ取られることがなかった。
 
それより半月前に師匠のご好意で観劇できていたので、今年は2回も観れるなんて!嬉しい!と思っていた矢先の休演発表(のちに第一弾の休演発表となる)で、自分が手にしていた公演が含まれることとなった。
 
オタクのスタンスとして舞台もコンサートも余程でない限り基本的に複数回行くことはなく、1回観たものをずっとモグモグして楽しむため、個人的なショックはそこまでなかったかもしれない。
 
去年骨折により会えなくなったコシオカがステージに立ってる姿を観れたのがラッキーだった。そう思って気持ちを片付けていた。
 
 
 
今年開設されたEndless SHOCK公式インスタグラムは、毎回の更新が楽しみだった。黙々と日舞を習う上田くんの近くに映り込むダンス練習中の椿くん。全て松崎のせいといじる光一座長。本番前に楽屋の外に響き渡る高音かつ大声の越岡さんのご挨拶も、2年前からエピソードには出ていたものの、動画で初めて見ることができた。
 
休演後に配信されたインスタライブでは、オケピを見せてくれたり、バミリを見せてくれたり、コメントを投稿する共演者の方々がいたり、ファンサービス満点だった。
 
ちょうどRide On Timeが放送されている期間だったのもあいまって、出ている人だけでなく携わっているすべての人の思いが、いつも以上にダイレクトに受け取ることができた気がする。
 
そして千秋楽までの休演発表。
 
全キャストに伝える様子までもがアップされた。休演を聞いた瞬間に項垂れたザキさん。こんなに誠実なアカウントがあっただろうか。
 
SHOCKは愛のある人たちの手で作られている。
 
 
 
突然公演が終わってしまった今年のSHOCKだったが、幕は降りていなかった。
 
3月22日18:00、夜公演の開演時間。
 
インスタライブで帝国劇場のステージに映し出されるキャスト名。鳴り響く生のオーケストラ。菱形の中から現れる片手を上げたコウイチ。そしてイントロと共にせり上がるカンパニー。
 
SHOCKだ。SHOCKが開演した。
 
そのまま大階段を降りてくるコウイチ。挨拶。
 
インスタライブの告知内容から何曲やってくれるんじゃないかと期待してたものの、本物のSHOCKが冒頭から繰り広げ始められた。
 
お芝居を除いて、時折解説や裏話を入れながら、かなりの部分を見せてくれた。インスタ回線が混んだり、衣装が間に合わなかったり、進行が決まってなかったり、それでもどうにかして届けようとう思いが伝わり過ぎて苦しいくらいに嬉しかった。Show must go onなんだ。
 
3月22日、インスタライブで奇跡を見た。我が家の狭い部屋は帝国劇場の最前列になった。
 
いつも通りの生演奏、いつも通りの照明、いつも通りの衣装、いつも通りの演出。階段落ちあとの幕間。USAがいないこと以外「いつも通り」だった。
 
いつも通りをワンカメでずっとずっと4回に分けて配信し続けてくれた。
 
いつも通り。だけどこういう機会だからSOLITARYでライバルが出とちらなかった場合の立ち位置を教えてくれた。階段落ちしたコウイチが血のりまみれの笑顔だった。ウエダソロで舞台だったら見れないカメラアピールする上田くんの笑顔があった。2階席からコウイチと一緒に座席の上をフライングした。気分はピーターパンとウェンディだった。
 
コシオカのHigherが大好きだけど、座長が頑なにHigherをやろうとしなかったので、オーナーが伝えてくれた「またお会いするその日まで」のお楽しみだ。
 
 
SHOCKを観たことがない人にはどう映ったんだろう?コウイチが階段落ちするシーンがクライマックスじゃなかったこと、初めて知った人もいるんじゃないかな?コウイチが2階席まで飛び降りることにびっくりしたんじゃないかな?
 
帰国を余儀なくされたUSAメンバー4人のパートを、ステージの真ん中で1人でやり切るザキさん。
 
2階の案内を誰かって時に、俺はフッキングがある(からステージにいなきゃ)って言った越岡さん。
 
私の好きな人たちは、毎年素敵なキャストの皆さんと素敵なスタッフさんに囲まれて、命を削って舞台に立つ座長の命を預かる仕事をしているんだね。
 
 
今年のSHOCKは短かった。でも、制作発表からのインスタ発信、このタイミングでのRide On Time、こういう時だからこそ出演してくれたFNS、そして今回の配信。セットも千秋楽のはずだった日まで、ステージ上に残してくれるという。
 
今年のSHOCKの公演は短かった。でも今年は裏側すらも表側だった。
 
そして、これまでよりも更にSHOCKの全てを好きになった。
 
こんなにまでエンターテインメントに誠実に向き合う人たちがたくさん携わっている作品に出会えてよかった。
 
 
座長は言った。エンターテインメントは命を守れないかもしれないけど、命を救えるんじゃないかと。
 
私は4年前のSHOCKで命というのは大げさだけど、真面目に、精神を救ってもらった人間だ。あの時の気持ちは一生忘れられないと思う。
 
今日もSHOCKのインスタは発信し、ザキさんもLINE LIVEを配信し、誰かの笑顔を生み出している。
 
これからもエンターテインメントが、スポーツが、感動を生み出して誰かの気持ちを救ってくれるように、一刻も早い平穏を願うばかりだ。